2011.12.29 Thursday 15:28 | posted by maru

2011年!今年もありがとうございました!

 今年も残すところあとわずかになりました。今年も多くの方々からのご支援を賜り、心より感謝申しあげます。

 maruは、本日12/29は臨時開所日として開所していて、基本的には昨日が御用納めでした。今年もいろいろありました。しかも年末が押し迫った中、感染性胃腸炎(ノロウィルス含む)の集団感染が起こり、3日間ほぼ閉所状態になるなど、メンバー、メンバー家族、スタッフに大変な思いをさせてしまいました。また、もちつき大会を中止する事態となりました。これは私たちの危機意識不足から起こった出来事。地域のみなさんをはじめ、関係各所にご迷惑とご心配をお掛けしてしまいました。心よりお詫び申しあげます。でも幸いみんな体調は回復。最後はなんとか笑顔で終わる1年になりました。
 さて、たぶん内容的に4年目を迎えたであろう施設長・吉田による年末のふりかえりWEB記事(昨年〜、一昨年〜、その前〜)。年々ボリュームが増え今年は書き出しを躊躇しました。また昨日、スタッフが年末のご挨拶の記事をUPしてくれたので、「うん、これで良しとするべし!・・・」と思ったのですが、どこからか「継続は力なり!!」という天の声が聞こえ、グッと気持ちを切り替え記することにしました。最後まで気力が持つか心配ですが、おつきあいのほどよろしくお願いします。

 毎年恒例ですが、maruの1年の始まりは福岡市の障害者福祉啓発イベント「ときめきフェスタ」の一環である「Love Love × Love Art」からはじまります。毎年新年早々、会場となるIMSでは、開催日前日の営業終了後、深夜の搬入設営作業が行われます。これがけっこう大変なんですが、多くの方々に作品を見てもらいたい!という思う一心で心を込めて会場が作られていきます。さて、今年はどんな展示になることでしょうか?楽しみです。おっと、ある意味maruらしい今年のスタートはこれ!でした。
 ということで今年1年を振り返ってみましょう〜。

 maruメンバーは数名の入退所があり33名、スタッフは常勤1名、非常勤が5名増えて22名。総勢55名!賑やかになり・・・と言いたいところですが、支援や活動のクオリティーやリスクマネジメントなど、それなりの高度な舵取りが必要になってます。大きくなっていくことは嬉しい反面、責任の重さを痛感した1年でした。
 2月に日本財団の助成金を受け、トイレの増設工事を行いました。トイレ渋滞がかなり大きな課題でしたが、2ヶ所から4ヶ所になり大きく改善されました。しかし、根本的な「野間のアトリエ」スペースの限界が見えてきた年でもあります。
 また、次のステップに向けて動き始めた年です。今、大きな課題として「将来の住まい」があります。いつか動かなければと思いつつ動けず、今年ようやく「3年後に『ケアホーム』を開設する!」という目標を掲げました。まだ動きはガツガツいっている感じではないですが、家族との意見交換会を開いたり、ホームの現場見学に行ったり、制度を調べたり、少しずつ進んでいます。目標まであと2年ちょっと。来年はドン!と前に進まなければ。
 コミュニケーション創造事業は、例年行っている「福岡市文化芸術振興財団」のエイブルアート事業、「Life Map」企画運営などの事業を行いつつ、今年は新たな一歩。福岡市の共働事業提案制度に提案した「障がい者アートプロジェクト事業」が採択され、「fukuoka plus gallery」と「福祉をかえる『アート化』セミナー福岡」を開催することになっているのです。これは新年明けて早々のイベント。この事業の成功がコミュニケーション創造事業発展のカギとなる!?
 また、福岡市西区に誕生した「木の葉モール橋本」に全国の障害のある人が手がけた商品のセレクトショップ「M&M slow」がオープン!私たちは商品のセレクトや仕入などの後方支援のお手伝いをさせていただきました。

 では、工房まるに目を向けてみましょう〜。

 展覧会は「Love Love × Love Art 2011」、埼玉県で開催された「アートが生まれる場所」の出展から始まります。今年は県外での展覧会が多かったです。7月、静岡県焼津市にあるギャラリースペースのある御そば屋さん「案山棒」での展示。8月、東京都千代田区のNPO法人「エイブルアートジャパン」が運営する「A/A gallery」で行った松永氏・大峯氏による二人展「ファンタジア」。11月、東京西池袋にある「ブックギャラリー ポポタム」での「maruとmakumo展」と熊本市にある「熊本市現代美術館」での「まる。てん」(開催中1/9まで)。これからも作品を通じて多くの人にメンバーそれぞれの存在を知ってもらえたら幸せです。
 グッズ販売では、新年早々「2011maruカレンダー」完売の一報にはじまり、Tシャツも大きく販売数を延ばした年でした。maruオンラインショップを利用されるお客様も多くなり、もっと充実させて行けたらと思っています。
 陶芸では柴田氏による「ぐい呑み」がラインナップ加わりました。さっそく佐賀の「シルクロ」さんの「ぐいのみ展」への出品、食と音楽とmaruの一品で構成される共同イベント「ぼくたちはすれちがうひとをみる」でフューチャーされたり・・・。来年更なる広がりを祈願しています。
 木工は平川氏による「ねこ時計」(ときめきセレクション2011入賞)が根強い人気。爆発的ではありませんが、コンスタントに売れ続けています。しかし新しい商品作りに影響したか!?橋口氏の木のスプーンがデビューしたものの、今ラインナップはちょっと寂しいな。木工グループの新作を望む!
 ご依頼の仕事関係では、すっかり定番となっている「ボストンナインTシャツをはじめ、「KOO-KIプロジェクト」Tシャツ、そしてAAC(エイブルアート・カンパニー)を通じてサマーソニック2011 オフィシャルTシャツにもmaruメンバーのイラストが素敵にデザインされました。また石井氏が「石風社」から出版された児童書「くろねこ通信」の挿絵を手がけたり、福岡の定番イベントとして開催されている「ブックオカ」という本にまつわるイベントの開催にあたり、東日本大震災の被災地支援の一環として「ブックオカ」、ステーショナリーメーカー「ハイタイド」、「maru」のコラボノートが作成されました。さらには、こんな仕事があったり、あんな仕事があったり・・・。
 今年大きな印象に残った仕事として、「九州大学」が推進しているソーシャルビジネスの拠点となる「グラミン・クリエイティブ・ハウス」のウォールアートの制作です。「グラミン・クリエイティブ・ハウス」はソーシャルビジネスの提唱者であるのノーベル平和賞受賞者ムハマド・ユヌス氏の協力のもと進められており、ある意味、世界につながる大きな仕事。壁画の絵は大峯氏と太田氏の絵が採用されましたが、壁画の制作自体は九大学生の手も借りながら、他のメンバーも関わりながらチームでやり遂げました。私たちが手がけた絵がここに集まる人たちの感性を刺激し、いろいろなソーシャルビジネスが生まれたら幸せです。ウォールアート完成後にはユヌス氏を囲んだ昼食会に招かれ、作者の二人はユヌス氏から讃えられ、とても誇らしげでした!
 仕事ばかりでなく遊びや学びの活動も!スポーツDay外出DayおしゃれツアーストレッチDayなど、いろいろな企画がありますが、今年からはじまった新企画「ラーメンツアー」!そこに何か意図があるのかと思いきや、ただラーメンが食べたいが故に生まれた企画。メンバーが代わるがわる市内の様々なラーメン屋に行き、食しWEBにレポートする、というだけ。しかし!そこに一つmaruらしく自分たちだけの楽しさにしてしまわぬよう、「車イスでも行けるか!?調査報告」が加えられています!まだまだ情報としては不十分かもしれませんが、みなさまのお役に立てる日を夢見つつ、メンバーはラーメンをすすり続けます・・・。
 さらには「そうめん流し大会」に「ボッチャ大会」などなど活動は多岐にわたり・・・えっ?「maruダンス部」発足!?
 
 3月発生した東日本大震災。多くの方が亡くなられたり被災されましたが、その中に大勢の障害のある人がいて、障害のない人以上に大変な思いをされた方々がいました。私たちは「きょうされん」や「エイブルアート・カンパニー」を通じて被災地支援に取り組みました。
 「きょうされん」を通じては、現地派遣と募金活動。現地派遣では、私が震災間もない4月初旬から一週間ほど福島県郡山市の「被災地障害者支援センターふくしま」に入り、主に避難所まわりを行い、障害のある人の実態調査を行いました。そこで目にした状況は原発事故によって翻弄されている多くの人々の姿。人権がないがしろにされている状況そのものでした。こうした状況をこれから先に生まないためにも、一人ひとりの人権と向き合う様々な事を知っている私たちの役割は大きいと実感しました。
 「エイブルアート・カンパニー」では「タイヨウ・プロジェクト」と銘打ち、カンパニー・アーティストの作品を使用したプロジェクトグッズを製作販売。売上の一部を被災地の仕事の復興を応援する資金づくり、そして、宮城県にある2ヶ所の福祉施設の商品開発、アトリエ活動支援、専門家の派遣を行うなど、施設、障害のある人の精神的あるいは経済的な自立の支援活動を行ってます。
 また、来年の「LifeMap」の企画は被災地とのつながりをテーマに据えました。年末にmaruメンバー柳田氏が被災地に行き、様々な人々と出会い、そして思い込めてたくさんの人の絵を描いてきたようです。今年の「LifeMap」も必見です。
 他に、こんな事や、あんな事そんな事に関わり私たちの気持ちを精一杯表現しました。
 震災から9ヶ月が経ちましたが、被災地支援はこれからが大切な時を迎えるのではと思います。maruとしても微力ではありますが、今後も継続します。
 
 さて、私たちを取り巻く環境に目を向けると、2009年の政権交代を期にはじまった障害者制度改革。これまでの日本の障害者福祉制度は障害者と健常者と分け隔る概念で作られていて、障害者は保護の対象でした。だから、それ以上の生き方は社会的に求められていなかったと言っても過言ではないでしょう。あまり表に見えてきませんが、それが現実でした。それを変えようとする動きです。
 改革では障害のある人を「“保護の客体”から“権利の主体”へ」をコンセプトに3つの法律づくりを目指すことになりました。3つの法律づくりの内容は「障害者基本法の改正」「障害者自立支援法に代わる総合福祉法の制定」「障害者差別禁止法の制定」です。「障害者基本法の改正」は今年の夏に終わり、今山場を迎えているのが「障害者自立支援法に代わる総合福祉法の制定」です。
 8月に制度改革推進会議の元に置かれている「総合福祉法部会」が、法律の骨格に関する提言をまとめ政府に提出しました。「総合福祉部会」では日本の主だった障害者関係団体の代表者55名が集められ、議論が行われてきました。55名の委員には、障害者自立支援法に対して賛成派もいれば反対派もいましたが、最終的にはその方々の総意で提言がまとめられたことは、日本の福祉において歴史に残ると言っても過言ではない画期的な出来事でした。
 障害のある人が、自分らしい暮らし、生き方、幸せを追い求めることができるようになります。この辺のニュアンスをうまく伝えられないのが悔しいですが、それは障害のない人にある権利よりも多くのもの、特別なことを求めているわけではないのです。この骨格提言に対して「求めすぎだ」という声が聞こえたりしますが、それは全くの見当違いです。
 「障害」は時を問わず、誰にでも起こりうることです。その視点で考えると、今行われている障害者制度改革で得られる物事は、今の障害のある人だけの物事ではなく、自分自身や家族を含めて“私たち”全国民の財産となるでしょう。
 この改革によって制度ができれば、障害のある人が“いる”ということが前提の場づくりや町づくりが私たちの義務となります。もしかしたら、みなさんが“その時”に立ったとき、多くの矛盾や疑問、問題を抱えるかもしれません。衝突も起きるかもしれません。しかし、それは多くの人々の知恵やアイデア、ネットワークなどのパワーで解決することができ、そこに大きな喜びと希望を生み出します。
 世の中には、こうした動きを望まない人もいます。そうした人たちの力の方が強かったりします。この制度改革はまだ道半ばです。現在、骨格提言に基づき厚労省が法案を作成中ですが、「障害者自立支援法を少し変えれば良い」という声も漏れ聞こえて来ていて、どれほど提言の内容が盛り込まれるかは不透明な情勢です。骨抜きにされる可能性も大いにあります。真なるものを得るには関係者だけの力だけではムリです。まずは皆さんの関心と新しい社会の到来を望む声が必要です。
 私自身、改革に近いところにいながら未知なることへの恐れがあります。しかし、恐れよりも希望への思いが強くあり、その思いを多くの人と共感していきたいと思っています。
 障害者制度改革にみなさんのご理解とご協力を何卒お願い申しあげます。

 さてさて・・・。今年を振り返る作業は内容が多岐に渡り、脳みその奥をほじくり返しながらの作業でした。まだまだ多くの活動をしてきましたが、そろそろ私のパワーも尽きてきました。ご紹介できなかった活動に関わって下さったみなさん・・・申し訳ありません。これだけのボリュームになってしまっては、年末ギリギリの一人作業はもう限界ですね。来年は分担作業にしよっと。

 最後に、気力をふりしぼって・・・ふたつ宣伝させてください。
 今年からmaruメールマガジンを発行し始めました。イベントの告知を中心の内容ですが、これから担当の新人スタッフ“わかめ”がきっと充実させてくれるでしょう。うん、頼んだぞ。そんなメールマガジンのご登録はこちらからお願いします。
 また、私たちの活動を支えて下さる賛助会員を年中募っております。maruに力貸したいけど出来なくて気持ちがギリギリしている方。ぜひ賛助会員になっていただき私たちの活動を支えて下さると幸いです。maru賛助会員お申込はこちらから。

 最後の最後。毎年同じ文言となりますが・・・。

 今年もたくさんの出来事がありました。来年もたくさんの出会いが生まれ、みんなの思いが何らかのカタチとなって社会に飛び出して行くでしょう。
 私たちはmaruの活動を通じて、障害のある人が社会を構成する一員とされる社会、障害のあるなしで差を生み出さないインクルーシブな社会を目指すことが、人の暮らしに豊かさを生み出すことを知っています。maruの活動で出会った多くの人々とそんな社会を実現する為に歩みを共にできればと思っています。

 来年もみなさまのご理解とご支援賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

 みなさまにとって来年が良い年になるようお祈り申し上げます。


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