2004.11.20 Saturday 16:10 | posted by maru

障害福祉サービス事業所「工房まる」について

障害福祉サービス事業所?地域活動支援センター?無認可作業所?

みなさんにとっては、よくわからない言葉がいっぱいです。

「工房まる」は2008年4月より障害者自立支援法に基づく新体系事業に事業移行しています。

ぜひご一読下さい。

●障害福祉サービス事業所「工房まる」のなりたち


1997年4月に無認可の福祉作業所として開所(作業所設立趣意書【1997/03】)。2007年3月に運営母体をNPO法人化したのち、2007年7月〜2008年3月は無認可から地域活動支援センター〓型として運営。2008年4月より、障害者自立支援法に基づく障害福祉サービス事業である「生活介護」「生活訓練」という2つの事業を行う多機能型事業所として事業移行を行い、新たなスタートをきりました。


●「工房まる」の支援方針


工房まる(maru)は開所以来「個」と向き合ってきました。そして「個」の可能性を追求してきました。人や社会とつながりその人らしい「何か」を得て、社会における役割を発見し、見出し、さまざまな人との出会い、つながり、「その人らしさ」があらわれてくるという意味での「自立」を目指してきました。

maruの活動は、絵画や陶芸などの創作活動が軸になっています。それらの事ができなくても、その人の個性が活かされる表現方法を、あらゆる手段と創意工夫で見つけていきます。これらの活動を通じて「生活・仕事・ケア」の3つの視点で、社会参加につながるさまざまな選択肢を築き、「その人らしい豊かな生き方」を実感できるよう支援していきます。

こうした取り組みを行いながら最終的に得たいものは、一人ひとりがその人らしく生きていけるコミュニティの獲得です。障害のある人たちは第三者の状況の変化や社会情勢の変化に大きく影響され、それまで積み上げてきたものを一気に失うことも少なくありません。より多くの人々によって支え合う環境をつくり出すことが、将来に対する安心につながり、現在の生活の幅をより広げることができます。

このような目標を実現するには、施設内の支援だけでは到底実現できません。利用者の家族をはじめ、ボランティアや地域の方々、他事業所など、あらゆる方々の理解、協力、連携が必要となってきます。maruはそうした人々にとっても魅力ある居場所となるよう取り組んでいきたいと考えています。

当事者の方々だけでなく、より多くの人と夢や希望を描きながら、実現にむけて一歩一歩進んでいきたいと考えています。

●障害福祉サービス事業所「工房まる」概要(2009年12月現在)


 ◎施設名    工房まる
 ◎施設長    吉田修一
 ◎開所年月日  2008年4月1日(法定外事業開始は1997年4月1日)
 ◎定員     生活介護14名 生活訓練6名
 ◎契約者数   生活介護18名 生活訓練6名
 ◎スタッフ   管理者1名(サビ管兼務) サービス管理責任者1名(管理者兼務) 生活支援員9名(常勤7名、非常勤2名) 看護スタッフ(非常勤)2名 調理スタッフ(非常勤)3名
 ◎運営財源   障害者自立支援法による自立支援費と法定の利用者負担金
 ◎サービス内容 〜「生活・仕事・ケア」の3つの視点
  ○「生活」
   ・送迎
   ・食事など日常生活における介助全般
   ・日常生活活動の実習や訓練、指導
   ・レクレーションやスポーツ、旅行などのイベント等の余暇活動
   ・他事業所等との合同支援会議の開催などの生活支援
  ○「仕事」
   ・絵画、陶芸、木工、書、詩作などの創作活動
   ・表現活動
   ・オリジナルグッズの製作販売、イラスト二次使用、原画販売などの授産活動
  ○「ケア」
   ・リラクゼーションやマッサージ
   ・健康チェック、健康診断、医療機関等との連携
   ・生活相談、制度等の情報発信、行政手続き等の相談やアドバイス
   ・自助具の製作 


●用語の説明


◎障害福祉サービス事業とは
2006年4月より施行した「障害者自立支援法」に定められている全国一律、国の義務的経費による障害者福祉事業です。大きく「日中活動系」「訪問系」「居住系」に分けられます。「日中活動系」は通所施設、「訪問系」は居宅介護(ホームヘルプ)、行動援護などのヘルプ事業、「居住系」はグループホーム、ケアホーム、入所施設等が該当します。さらに「日中活動」は介護系と就労・訓練系に分けられます。介護系の事業を利用するには認定調査を受け、障害程度区分判定を行う必要があります。区分によって使用できる、できない事業があります。介護系の事業には「療養介護」「生活介護」、就労・訓練系には「就労移行」「就労継続A」「就労継続B」「自立訓練(生活訓練)」「自立訓練(機能訓練)」があり、合計7つの形態に分けられます。障害者自立支援法では身体障害・知的障害・精神障害などの障害種別による施設形態がなくなり、また「多機能型事業所」と言って、一つの施設内で複数の事業を行うことができます。maruは日中活動系(通所施設)の生活介護と自立訓練(生活訓練)の2つの事業を行う多機能型事業所です。

◎地域活動支援センターとは
障害福祉サービス事業と同じく2006年4月より施行した「障害者自立支援法」に定められている「地域生活支援事業」に含まれている通所系事業のことです。「地域生活支援事業」の中には地域活動支援センターの他、ヘルプ事業である「移動支援」、手話通訳、要約筆記等の「コミュニケーション支援」等があります。「地域生活支援事業」は障害福祉サービス事業と違い、地域の実情に合わせて市町村が仕組みを作ることのできる市町村事業です。ただし、財源は裁量的経費であり、情勢に大きく左右されやすい基盤の脆弱な事業と言えます。「地域活動支援センター」は無認可作業所の安定運営、利用者処遇の改善、スタッフの身分保障を引き上げるための最有力の事業移行先として注目されましたが、表向き法内化したのに過ぎず、無認可と実態は何ら変わらず、無認可問題解決にはほど遠い事業形態となってしまいました。また市町村の考え方によって補助金等が大きく変わり、地域格差がどんどん広がっています。

◎無認可作業所とは
無認可作業所とは主に法律に定められていない施設のことをいいます。一般的に「障害者施設」と言われるのは「障害者自立支援法」に定められている事業所の事です。支援法が施行される以前は「身体障害者福祉法」「知的障害者福祉法」「精神保健福祉法」の各法律に定められていて、現在新法事業所への移行期間ですが、旧法での施設もまだ数多くあります。今から数十年前は法内施設の数が少なく、更には旧来的な施設は収容的、隔離的な施設のため、在宅を強いられる障害者が多くいました。そんな状況を切り開き、自分たちが住み慣れた町にあり、仕事ができ、日中を過ごす場として誕生したのが法律に定められていない障害者施設「無認可作業所」です。無認可作業所は「共同作業所」「福祉作業所」と呼ばれることもあります。誕生から約35年がたち、当初は関係者が手弁当で運営していましたが、認可施設不足を補っているということで、各自治体によってかなりの格差はあるものの作業所運営に対する補助金制度が整備されてきました。今では全国に6,000カ所を超える作業所(地域活動支援センターを含む)があるといわれています。福岡市では約30年前に誕生。今では62カ所(内地域活動支援センター18カ所)の作業所があり、身体、知的、精神などの障害のある人たち約1,000人が利用しています。福岡市の補助金は全国的に見て上位に上げられる額ですが、それでもどこも厳しい運営を強いられています。


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